8月号で「英国がSDMのガイドラインを更新、日本もこれを参考にすべきだ」と寄稿したが、英国、米国、カナダ等の英語圏の患者権利擁護の高まりは、時間的遅れは殆どなく、日本への波及し始めている。SDMとはshared decision makingの略で共有・共同意思決定として、2020年頃から注目を集める概念になってきた。特に英国ではSDMの主要構成要素でUPC(Universal Personalized Care:普遍的個別化医療)である。
この概念実現可能となったのは、デジタル技術の急速な発展、即ち、コストが急速に下がり、技術的に容易になり、広く普及され始めている。
但し、患者や家族は医療専門家と比べ、圧倒的に知識や経験に乏しいが、自分の健康や身体の状態は常時感じる事が出来、その変化は絶えず知覚でき、以下説明のPDA Patient Decision Aids(患者意思決定支援)が担当医師や看護師等専門家達とより詳細に、適時、迅速に自分自身の体の変化の状態を伝え、相談が可能となる事が期待されている。
日本において、英米諸国より公的国民皆保険制度が普及し、より身近な健康保険制度のお蔭で、医師、看護師、薬剤師等の医療専門家と自分の健康問題を適宜相談できる状況にある為、英国で同時並行的に発展してきたPDA: Patient Decision Aids(患者意思決定支援)PDAがSDMへ発展の架け橋的機能に注目されている。両者SDMとPDAの密接な連携で、患者側と医療サービス提供の専門家側の双方に医療面のより一層満足度が高まる機会となる期待できる。機会が有れば、今後継続しその発展状況を報告致したい。
以上
備考
Patient Decision Aids の発展の歴史は米国や英国ではなく、同じ英語圏で法体系も慣習法を採用の共通点を持つ、英国、米国の影響を強く受けている周辺国のカナダで始まったことは注目される。
その発展歴史は、カナダで先行し、発達してきたことは特筆される。それを要約すると:
1989年カナダ・オタワ大学を取り囲む研究者、企業グループの人達により患者の行動指針に関する不確実性などの意思決定ニーズを場合の臨床戦略を説明する論文を発表した。