特定非営利活動法人 標準医療情報センター

1.地域中核病院として社会医療法人のMS会社は、その役割が次2024年から始まる10年に飛躍的に拡大が見込まれる。その理由について、以下の通りである。

  1. 2008年に民間部門の位置づけであるが、公的部門の国立、県立、市立と明確に線引きする、社会医療法人の設立が始まった。
  2. その後2014年に、民と公の中間的実体の社会医療法人や社会福祉法人の病院部門に医療以外の隣接する一般事業の薬剤や医療機器の購入で不利益を被らないように、そのグループ内に一般企業の設立を特別に認めたのがメディカルサービス・カンパニーである。
  3. 2025年頃には 病院施設の大規模修繕の開始が見込まれ、更に、施設の拡張や新設等、本業の医療業務以外の課題に取り組む必要性が増大している。
  4. 社会医療法人が地域中核病院としてその役割が浸透し、より診療科の幅が広く、かつ専門性が高い診療・治療が期待され、それに適合する機器の導入や改築や新設の急増が見込まれる。これを意味することは、先行投資の拡大で、財務の専門人員の拡充や外部コンサルタントの起用と医療分野外の知見が必要とされる。即ち、MS会社の機能拡大と財務基盤の強化を示唆する人材の補強である。

但し、財務基盤強化は多様な方策を追求することが必須である。特に日本の公的医療保険に裏付けられた診療・治療から確実に保証された保険支払いは、大変回収リスクの低いもので、それに裏付けられた病院からの施設の家賃や薬剤や医療機器に関わる料金支払いは安定し、リスクの低いと見なされる。 言い換えれば、資金調達の方法は銀行借り入れ等、短期での調達方法に限定が適合し、長期的には施設からのキャッシュフローを担保に、リートや証券化等リスクの低い安定的手法を示唆する。

2.財務面から今後のあるべきMS会社への改善や構造改革について、先行する英国のPFIモデル及び発展形体のPF2と比較することが、以下の理由で大変有益と考える-。

  1. 税金で運営される英国民保健と日本の国民健康保険が類似しており、人口の高齢化が日本で急速に進行しており、生活保護が高齢者家庭で増大し、税金による医療費支援も拡大し、税で運用される英国と日本の国民健康保険制度は、非常に近似化が進行中している。即ち、英国の健康保健制度下で受けられる医療サービスは約95%以上が税金で運用され、公的制度下で提供される。日本も実態は近年高齢所帯の急増傾向が進行中で生活保護受給世帯の割合は増加中で、ほぼ英国の実態と同様に95%以上が公的医療制度下で提供され、両国の国家財政面から見た医療サービスは、同じであると云える。
  2. 英国会計検査院のPFIとPF2につての現在入手可能な検査概要(Overview)によると、たとえ直ちにこれらの民間主体の財務手法中止を決定しても2040年代まで頼らざるを得ないと論じている。 日英両国の医療分野でデジタル技術面の相互学習で、進化・発展が著しい。両国の健康保健制度の急激な類似化がこの具体的診療面でも進行中である。

備考

 筆者の歩んだ道において、高校時代の学友故川合弘毅と卒業後37年ぶりに新設大学広島国際大学医療経営学科において、偶然の再会であった。当時彼は病院協会の副会長で、同協会が医療系大学の新設に際して、助言や彼が長年大阪拠点の総合病院社会医療法人若弘会で理事長を務めて来た知見が画期的役割を果たした。

 その縁で、開学に際して、医療経営学科の1科目の授業をその後数年にわたり引受、週に1度、大阪から新幹線で東広島まで出かけて頂いた。その後、彼を通じて学んだことは、公的部門ではなく、民間扱いである完全な非営利団体の社会医療法人や社会福祉法人が一般営利企業との取引で武士の商法的のやり方で、民間企業の商業慣行や常識に反する考え方で医療以外の一般取引を行う不利益やマイナス面を補う方法を厚労省と協議の上、考えだされた。尚、その縁で同社会医療法人の理事や社員を続けてきた。

 民間一般企業と同じ土俵で医療行為以外の一般取引を行うやり方を考え出した。即ち、例えば医薬品の購入や医療器具等の備品調達に、病院グループ内に営利企業の子会社を抱える方法を考案した。これこそが、メディカルサービス・カンパニーである。営利を 追求し、商取引の慣行に精通し、非営利の医療行為以外の商行為を追求すると云う株式会社設立を可能とした。

 この民間企業は通常の民間企業を何ら変わらず営利を追求し、一般民間企業として商行為を非営利社会医療法人に代わり、行うことが規定されている。厚生労働省が2014年に明文化した非営利医療法人とMS法人との関係の透明化が厳しく規定され、社会医療法人の決算にMS会社と関係を税理士と公認会計士の監査を受けており、直接管轄する都道県の関係官庁への届け義務を負っている。

以上

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