1)ウィルス性上気道炎の定義
  鼻汁、咽頭痛、咳、発熱などの臨床症状が少なくとも1週間以内に自然治癒するものである。発熱は3日以上続くことは少なく、38度を超えることも少ない。
2)ウィルス性上気道炎に対する教育と指導(インフルエンザを除いたもの)
 
  1. 予防法(うがい、手洗い)
  2. 治療法(対症療法への十分な理解)
3)インフルエンザに対する教育と指導
 
  1. ワクチンによる予防
    • 高齢者や心臓・肺に基礎疾患のある人、糖尿病や腎疾患治療中の人などには接種が推奨される。発症阻止効果は健康成人で70~80%、高齢者では34~55%とされるが、重症化防止には有用性の高いことが知られている。
  2. 抗ウィルス薬による治療
    • 早期(発症2日以内)治療開始での有効性は、あらゆる年齢層で高い。
  3. 診断法(臨床診断、病原診断)
4)自宅療養における注意点
  自宅安静と十分な水分、栄養摂取が基本であるが、以下の症状がみられる場合にはすみやかに医師と相談するように、あらかじめ教育と指導を行う必要がある。
  1. 臨床症状(発熱、咽頭痛など)の持続(3日以上)
  2. 激しい頭痛
  3. 呼吸困難
  4. 胸痛
  5. 膿性分泌物(鼻汁、痰)
  6. 扁桃腺脹、など
5)病院診療における注意点(医師側に求められるもの)
 
  1. 解熱薬などの正しい服用法と、発熱の持つ免疫学的な意味などへの理解を得る。
  2. 合併症の有無についての適切な判断の指導
  3. 予防法の指導
  4. 抗菌薬使用の場合、その必要性や適正使用についての説明