くも膜下出血は主に脳動脈瘤の破裂により発症します。外傷や脳動静脈奇形からの出血が原因でも起こりますが、ここでは脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血を対象とします。
日本では年間10万人に20人ほど発症し、死亡率はほぼ1/3と考えられますが、発症時に意識状態が悪いほど死亡する確率が高くなります。また発症したとたんに心臓が止まってしまう例もたくさんあります。ここではグレードA(強く勧める)とB(行うよう勧められる)の一部を記載します。


【くも膜下出血の予防】
グレードA(強く勧める)B(行うよう勧められる)
- 喫煙、高血圧、過度の飲酒は避け、それらの危険因子を持つ人は、その改善が望ましい(グレードA)。
- 未破裂の脳動脈瘤が発見された場合は、出血予防処置(外科手術もしくは血管内手術)の適応について検討するよう勧められる(グレードB)。
- 発見された未破裂脳動脈瘤で以下の特徴を有する病変は、より破裂の危険性の高い群に属し、治療を含めた慎重な検討をすることが進められる(グレードB)。
①大きさ5〜7mm以上の未破裂脳動脈瘤
②上記未満であっても、
a.症候性の脳動脈瘤
b.後方循環、前交通動脈、および内頸動脈 - 後交通動脈部などの部位に存在する脳動脈瘤
c.Dome neck aspect比が大きい・不整形・ブレブを有するなどの形態的特徴をもつ脳動脈瘤
最近、脳のMRI検査や脳ドックが普及し、未破裂脳動脈瘤が発見されることが増えています。2009年脳卒中治療ガイドラインでは3の項目はグレードC1で記載されていましたが、2015年ではグレードBと推奨グレードが上がっています。日本では2001年から2004年までの登録された未破裂脳動脈瘤の破裂率等の経過観察をまとめたUCAS(未破裂動脈瘤観察研究)の調査が2012年に報告され、その他の研究を含め、エビデンスが蓄積されたものと考えられます。
【くも膜下出血の治療】
再出血の予防のための治療

グレードA(強く勧める)B(行うよう勧められる)
- 診断の遅れが予後の悪化につながるため、迅速で的確な専門医による治療が必要である(グレードA)。
- 破裂脳動脈瘤では再出血の予防が極めて重要であり、開頭によるクリッピング手術あるいは開頭を要しない脳血管内治療を行うよう、強く勧められる(グレードA)。
- 脳血管内治療の場合、適切な補助手段を用い、可能な限り高い塞栓率を目指すよう勧められる(グレードB)
- 重症でない例(重症度分類のGrade I-III)では、年齢、全身合併症、治療の難度などの制約がない限り、早期(発症72時間以内)に再出血処置を行うよう勧められる(グレードB)。
【合併症の治療】
くも膜下出血では再出血だけではなく、2〜3週間の間に起こってくる水頭症と遅発性脳血管れん縮に注意が必要です。
- 遅発性脳血管れん縮の予防と治療、電解質管理を含めた呼吸循環管理、栄養管理に努めるよう強く勧められる(グレードA)。
- 全身薬物療法として、ファスジルやオザクレルナトリウムの投与が強く勧められる(グレードA)。
- 慢性期には水頭症の発生に注意し必要な処置を行うよう強く勧められる(グレードA)。
- 早期手術の際、脳槽ドレナージを留置して、脳槽内血腫の早期除去を行うよう勧められる(グレードB)。
(2020.2.25更新)
《文献》
脳卒中治療ガイドライン(2015)、編集:日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会、協和企画、東京 2015