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【食道がんとは】

 食道は、長さ約28cm、太さ2~3cm、厚さ約4mmの臓器です。食道の内腔の表面は粘膜でおおわれており、食道粘膜の表面から発生する癌を食道癌といいます。
 2008年度の日本人の食道癌死亡者数は11,746人で日本人の癌死の3.4%を占め、がん種別では日本人男性において6番目に多い癌ですが女性では10番目以下の癌腫です。

 飲酒と喫煙がその主因と考えられていますが最近ではフラッシャーとよばれる飲酒後の皮膚の発赤を伴う人に多いことも指摘されています。60歳代の男性に好発し食道の中間(胸部中部)にできやすいのが特徴です。日本では、食道癌の92%が扁平上皮癌であるのに対し、欧米では半数以上が腺癌(胃の組織と同じ)でその大半が食道下部に発生しています。

 食道がんは初期症状がないことが多く、表在癌(初期の食道癌)では60%近くの患者さんが無症状です。進行してくると食べ物を飲み込んだときに胸の奥が痛む、食道で食べ物がつかえる、体重が減少する、声がかすれるなどの症状があります。定期的な健診では発見される確率はまだまだ低いため、このような症状がある場合には早めに専門機関への受診が必要です。また食道癌切除後の約10%に重複癌(転移ではなく全く別の癌)ができることが報告されており、食道癌が根治できた患者さんでも定期的な癌の全身検索が必要となります。

【食道がんの診断と検査】

 食道癌を発見するための検査としては、X線による食道造影検査と内視鏡検査があります。
 食道造影検査では早期食道癌など発見が困難である場合も多いため、内視鏡検査のほうがより正確な診断ができ、また直接腫瘍組織をその場で採取し病理検査ができるのでより有用です。
 食道がんの広がりを調べる検査としては、CT、MRI、超音波内視鏡検査、超音波検査、PET検査などがあり、これらの検査を合わせて食道癌の進行度(病期)を決定します。

【食道がんの病期と治療方法】

 食道癌取扱い規約(第10版補訂版)よりTNMの各因子とStage分類を表1に示す。

進行度

表1 進行度

 食道癌診断治療ガイドライン(2012年4月版)より臨床病期別食道癌治療のアルゴリズムを示す(表2)

食道がん治療のアルゴリズム

表2 食道がん治療のアルゴリズム

内視鏡治療
 内視鏡的粘膜切除術(EMR)および内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)があります。これらは、内視鏡で見ながら食道の内側から粘膜内のがんを切り取る方法で、0期とI 期の一部が対象となります。食道がそのまま残り、低侵襲のため体に最もやさしい治療方法です。
 切除した組織を病理学的に診断し、取りきれなかった部分があったり、リンパ節転移の可能性が高いと判断された場合は、追加の手術や放射線治療、化学放射線療法が必要になります。合併症として出血や穿孔、治療後に食道が狭くなる(狭窄)などがあります。
手術
 食道がんで最も標準的な治療です。食道と周囲のリンパ節を同時に切除します。腹部だけでなく開胸操作もあり、手術はとても複雑です。切除した食道にかわり、胃や小腸、大腸などで再健します。手術死亡率(手術後30日以内)は約4.2%と高率で他に合併症としては、縫合不全(つなぎめのほころび)、出血、肺炎、心不全などがあります。術後も術前と同じスピードで食事をすることは難しく、小分けにすることが必要になる場合もあります。
放射線化学療法
 放射線治療は体の外から食道癌の部位と転移リンパ節とを同時に照射します。放射線と同時に抗がん剤治療をおこなうことを放射線化学療法といいます。放射線は1.8Gyから2.0Gy/dayを30日間、抗がん剤は放射線施行期間の4日間を約1カ月間隔をあけて2コース施行するのが一般的な方法です。
 抗がん剤としてはシスプラチンと5-FUを使用するレジメンがスタンダードです。一見、手術よりも楽なようにもみえますが、決してそんなことはなく、吐き気、嘔吐、骨髄抑制(白血球減少、貧血、血小板減少)、間質性肺炎などが早期合併症としてあり、治療後1年以上たってからおこる晩期合併症として、難治性胸水、心のう液貯留や甲状腺機能低下症などが考えられます。
 放射線に対し無効例や再発に対しては手術(サルベージ手術)を行うこともありますが、合併症の発生頻度は高く、決して安全な手術とは言えません。
対症療法
 上記根治治療が不可能な場合はつまっている食道をむりやり広げるステント治療や、胃に栄養チューブを挿入し栄養管理をおこなう治療や癌に対する疼痛管理、免疫治療などがあります。

【治療成績】

それぞれの治療法別生存曲線を示します。

(The Japanese Society for Esophageal Disease Comprehensive registey of Esophageal Cancer in Japan 1998,1999 3rd 2002より引用)

進行度

治療法別生存曲線

 

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