特定非営利活動法人 標準医療情報センター


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 脳卒中は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血があります。日本では第3位の死亡原因ですが、高齢者の脳梗塞発症率は高く、寝たきりの人の40%が脳梗塞が原因といわれています。
また脳のMRI検査や脳ドックで症状のない無症候性脳梗塞が見つかることが多く、これが脳梗塞の危険因子となります。脳卒中は予防することが最も大切で、一過性脳虚血発作や、心房細動は見過ごさず、病院へ行って下さい。


脳卒中の予防
グレードA
(強く勧める)
高血圧では降圧治療が必要である。
血圧は高齢者では140/90未満で、若い人は130/85未満が目標です。降圧剤の中ではカルシウム拮抗薬、ACE阻害剤、ARB薬等が推奨されます。
II型糖尿病患者では血圧の厳格な管理が必要である。
II型糖尿病とは成人に発症するよく言われる糖尿病です。糖尿病の人は細い血管が障害されて目が見えなくなったり、腎臓が悪くなって透析になったり、足が腐ってしまったりします。血糖値を下げることで細小血管症は減少できますが、大血管症である脳梗塞は減らせません。脳梗塞を減らすためには血糖値だけではなく血圧の厳重な管理が必要です。
高脂血症患者にはLDLコレステロールをターゲットとしたスタチンの投与が推奨される
高脂血症はコレステロールや中性脂肪が高く動脈硬化になりやすい病気です。高脂血症の人にはスタチンというコレステロールや中性脂肪を減らす薬が脳卒中の予防に効果的であるということです。スタチンには色々な薬がありますが、副作用として横紋筋融解症といって筋肉が痛くなったり、尿が赤くなったり、腎臓が悪くなる人がいますから、飲みだして2-3週間で1回血液の検査をしてもらいましょう。それでなんでもなければ飲み続けても大丈夫です。
脳卒中や一過性脳虚血発作、脳卒中危険因子を合併した心房細動患者にはワーファリン投与が強く推奨される。ワーファリン療法ではINRが2-3が推奨されるが、70歳以上の患者では1.6-2.6にとどめることが推奨される。
喫煙は脳梗塞、くも膜下出血の危険因子であり、喫煙者には禁煙が推奨される。
脳卒中の予防には大量の飲酒を避けるべきである。
お酒とタバコはいつも健康に悪いと言われています。タバコは脳梗塞の危険因子です。脳梗塞では少量の飲酒は危険率を下げますが、大量の飲酒は脳梗塞でも脳出血でも危険因子です。タバコはやめて、お酒はほどほどに。
慢性腎臓病は脳卒中の予知因子の一つであり、生活習慣の改善と血圧の管理が推奨される
慢性腎臓病では心血管疾患の死亡率が高いことが明らかになっています。心不全、脳梗塞の発症率も高いので注意が必要です。
グレードB
(やったほうが良い)
メタボリックシンドロームは脳梗塞の危険因子であり、体重減量、運動、食事による生活習慣の改善と投薬による管理が推奨される。
メタボリックシンドロームは腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上。加えて以下の項目が2項目以上。①高中性脂肪血症(150以上)または低HDLコレステロール血症(善玉コレステロール40以下)②血圧上が130以上または下が85以上③空腹時血糖110以上。メタボリックシンドロームは米国では心筋梗塞、脳卒中の独立した危険因子です。日本の調査でもメタボリックシンドロームを持つ日本人は脳梗塞の発症が男性で2倍、女性で1.5倍になるという報告があります。

【脳卒中のリハビリテーション】

リハビリテーション

2004年のガイドラインと2009年のガイドラインを比べると、脳卒中のリハビリテーションに関する項目が随分増えています。それだけリハビリテーションが重要だと認識されてきたのだと思います。日本でもこの間に回復期リハビリテーション病棟が広がり、6万床以上になりました。特に急性期では早期にリハビリを開始すること、急性期・回復期リハビリでの訓練量や頻度を増やすことが良いと勧められています。これを踏まえて、回復期リハビリ病棟では一日最大9単位(3時間)、土日も休みなくリハビリを実施することが制度化されています。


急性期
グレードA
(強く勧める)
廃用症候群を予防し、早期のADL向上と社会フックを図るために、できるだけ発症後早期から積極的なリハビリを行うことが強く勧められる。
脳卒中ユニットなど組織化されたチームで集中的なリハビリを行うことが強く勧められる
回復期
グレードB
(やったほうが良い)
移動、セルフケア、嚥下、コミュニケーション、認知などの複数領域に障害が残存した例では急性期に引き続き、より専門的かつ集中的に行う回復期リハビリを実施することが勧められる。
グレードB
(やったほうが良い)
予後予測による目標の設定、リハビリプログラムの立案、入院期間の設定などを行い、リハビリチームで包括的にアプローチすることが進められる。
維持期
グレードA
(強く勧める)
回復期リハビリ終了後の慢性期脳卒中患者に対して、筋力、体力、歩行能力などを維持、向上させることが進められる。
グレードB
(やったほうが良い)
そのために訪問リハビリ、外来リハビリ、地域リハビリを考慮する。
その他リハビリに関するグレードA(強く勧められる)項目 (脳卒中治療ガイドライン2009)
  1. 発症後早期の患者では訓練量や頻度を増やすことが勧められる。
  2. 起立―着席訓練や歩行訓練などの下肢訓練の量を多くすることは歩行能力の改善のために強く勧められる。
  3. 麻痺側上肢に対し、特定の訓練を積極的に繰り返し行うことが強く勧められる。
  4. 片麻痺の痙縮に対してダントロレンナトリウム、チザニジン、バクロフェン、ジアゼパム、トルベリゾンの処方を考慮する。
  5. 痙縮による関節可動域制限に対し、ボツリヌス療法が勧められる。
  6. 有酸素トレーニングは有酸素性能力、歩行能力、身体活動性、QOL、耐糖能を改善するので、強く勧められる。
  7. 麻痺側下肢の筋力トレーニングは、下肢筋力を増強させ、身体機能を改善させるので、勧められる。

(2014.5.1)

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