特定非営利活動法人 標準医療情報センター

先端医療検査(脳MR検査)

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頭痛イメージ 頭痛を持っている日本人は3-4千万人とも言われていて大変多い病気です。ここでは

icon片頭痛
icon緊張型頭痛
icon群発頭痛
icon薬剤長期乱用に伴う頭痛

について治療法のガイドラインを示します。
薬の名前が良く出てきますが、一般名では皆さんに分かりにくいので日本で売っている商品名を括弧の中に挙げますが、全ての製剤を挙げることはできませんのでご了承ください。


片頭痛イメージ

1 片頭痛

 片頭痛は頭痛発作を繰り返す疾患で日本では8.4%の人が片頭痛を持っています。前兆を伴うものと伴わないものとに分かれ、国際頭痛学会の診断基準に従って診断します。前兆の例としてキラキラ光る暗点が見える閃輝暗点や、視野が狭くなったりする目の症状が代表的です。


1-(1)前兆を伴わない片頭痛の診断基準
B-Dを満足する頭痛発作が5回以上ある 。
頭痛の持続時間は4-72時間 。
以下の4項目のうち少なくとも2項目を満す。
  1. 片側性頭痛 
  2. 拍動性 
  3. 日常生活を阻害する中ー高度の頭痛
  4. 階段昇降あるいは類似の日常運動により頭痛が悪化する
頭痛発作中に少なくとも下記の1項目を満たす。
  1. 悪心及び・または嘔吐
  2. 光過敏及び音過敏
器質疾患による頭痛を否定できること 。

1-(2)前兆を伴う片頭痛の診断基準
Bを満足する頭痛発作が2回以上ある 。
以下の4項目のうち少なくとも3項目を満たす。
  1. 大脳皮質―及び・又は脳幹の局所神経症候と考えられる完全可逆性の前兆がひとつ以上ある。
  2. 少なくとも一つの前兆は4分以上にわたり進展する。2種類以上の前兆が連続して生じてもよい。
  3. いずれの前兆も60分以上持続することはない。ただし2種類以上の前兆があるときは合計の前兆の時間が延長しても良い。
  4. 頭痛は前兆後60分以内に生じる(頭痛は前兆の前、又は同時に始まっても良い)。
器質疾患による頭痛を否定できること 。

1-(3)治療と予防
軽症例では一般的鎮痛薬で十分ですが(グレードB:やったほうが良い)

中等度以上の片頭痛発作ではセロトニンを介して脳血管を収縮させる経口トリプタン(イミグラン、ゾーミック、レルパックス)が第一選択です(グレードA:強く勧める)

以前から用いられているエルゴタミン(カフェルゴット、ヘクト、クリアミン等)はトリプタンが効かない例に有効です。制吐薬であるメトクロプラミド(プリンペラン)は片頭痛治療薬ではありませんが、随伴する悪心・嘔吐には効果があるので積極的に使用すべきです
(グレードA)

病院や救急室ではトリプタンの皮下注射(イミグラン注)が有効です(グレードA)

スマトリプタン無効例では通常の鎮痛薬の坐薬を試してみてもよいです。やむを得ず妊婦に片頭痛薬を投与する場合はアセトアミノフェン(アンヒバ、ピリナジン、カロナール等)が比較的危険が少ないです。

●片頭痛の予防

予防効果があるといわれている薬品は多いですが、トリプタンを治療薬として選択した場合はエルゴタミン製剤(ジヒデルゴット等)は禁忌であるのでカルシウム拮抗薬のミグシス、テラナスを予防薬として選択するのが日本の保健医療の中では適していると考えられます
(グレードB)

しかし予防薬が効果を発現するまでに数週間から数ヶ月かかることを患者さんに理解してもらう必要があります。
緊張型頭痛イメージ

2 緊張型頭痛

 片頭痛のズキンズキンという拍動性の頭痛とは違い、頭が締め付けられるような痛みを生じるのが緊張型頭痛です。片頭痛は8.4%の有病率ですが、緊張型頭痛は20-30%の有病率と言われており非常に多い病気です。


2-(1)診断基準
国際頭痛学会の分類では緊張型頭痛は2種類にわかれ、頭痛が1ヶ月のうち15日未満のものを反復発作性緊張型頭痛とし、頭痛が1ヶ月に15日以上のものを慢性緊張型頭痛と分類しています。
緊張型頭痛を起こす因子は、
  1. 口・顎部の機能異常
  2. 心理社会的ストレス
  3. 不安、うつ
  4. 妄想や妄想概念としての頭痛
  5. 筋性ストレス
  6. 緊張型頭痛に対する薬剤過剰摂取
  7. 他の器質性疾患により緊張型頭痛が増悪
などがありますが、原因不明の場合もあります。

2-(2)治療、予防
 非ステロイド系消炎鎮痛剤薬(NSAIDs)(インダシン、ロキソニン、ブルフェン等)(バファリン、インダシン、ロキソニン、ブルフェン、ポンタール等)と一般の鎮痛薬(アンヒバ、カロナール等)が医師の処方の有無によらず自己投薬でも良く使用されていますが、効果はあると考えられます。その中でもイブプロフェン(ブルフェン)は有効であるというデータが多く出ています(グレードB:やったほうが良い)

またカフェインをNSAIDsと併用すると良い効果を得られるとの報告もあります
(グレードA:強く勧める)

抗うつ薬であるトリプタノールも効果がありますが(グレードA)、口内乾燥、眠気等に注意が必要です。

新しい抗うつ薬であるセロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の中ではフルボキサミン(デプロメール、ルボックス)が効果がありますが(グレードB)他のSSRIは効果なしです。

抗不安薬もよく使用されます。プロゾラム(ソラナックス)は効果あり(グレードB)でお勧めですが、日本で保険適応があり、よく使われているエチゾラム(デパス)は効果がある証拠がないのでお勧めできません。鎮痛薬とともに筋弛緩薬もよく使用されます。

チザニジン(テルネリン)は効果ありとの報告が多く(グレードB)片頭痛薬のスマトリプタン(イミグラン)も混合型頭痛には効果があります(グレードB)

他にわが国で行われている治療法では後頚部指圧は有用ですが重篤な副作用が報告されているのでお勧めできません。ボツリヌス毒素は厳禁、タイガーバームは効果あり、経皮的電気刺激は有効そうで副作用がないのでお勧め度Cとします。

まとめてみると緊張型頭痛にはまずNSAIDsを使用します。アスピリンの量は欧米より少なめの330-660mgが勧められます。NSAIDsの慢性的使用による頭痛誘発は要注意です。予防薬としては坑うつ薬か抗不安薬、筋弛緩薬が推奨されます。頭痛体操はエビデンスはないが副作用もなく、コストもかからないのでお勧め度Bとします。
群発頭痛イメージ

3 群発頭痛

 群発頭痛は20-30代の若い男性に圧倒的に多い比較的まれな頭痛です。頻度は10万人に男性15人、女性4人程度で片頭痛の25分の1の頻度です。


3-(1)診断
A 次のB-Dを満足する発作が5回以上ある。
B 眼窩部、眼窩上部または側頭部に片側性の激しい痛みが15-180分間持続する。
C 痛みと同時に次のうち少なくとも1項目を伴う。
  1. 結膜充血
  2. 流涙
  3. 鼻閉
  4. 鼻汁
  5. 前額と顔面の発汗
  6. 縮瞳
  7. 眼瞼下垂
  8. 眼瞼浮腫
D 発作頻度が1回/2日-8回/日である 。
E 器質疾患による頭痛を否定できること。
典型的な例は若い男性で片側の目が痛く充血し、激しい頭痛が伴うもの。

3-(2)治療
 通常の頭痛に用いるNSAIDsは無効です。トリプタン製剤(イミグラン、ゾーミック)が有効で、特にイミグラン注6mg皮下注射(日本では3mgの注射しかありません)が有効とされています。注射後10分で効果が出てきて、30分で77%が完全寛解したと報告されています(グレードB:やったほうが良い)

鼻腔スプレーも有効です。群発頭痛には昔から100%酸素を7リッター15分間吸入が良いといわれており、これも有効です。エルゴタミンの吸入も有効ですが、日本では未発売です。

予防には海外ではカルシウム拮抗薬のベラパミル360mg/日が有効とされていますが、日本ではワソランで1錠40mgであるから一日9錠飲まなければならず、しかも保険適応はありません。
日本ではカルシウム拮抗薬のロメリジン(ミグシス、テラナス)が片頭痛の適応があり、若干の予防効果があります。ステロイド、エルゴタミン、スマトリプタン等は予防効果は証明されていません。

薬物療法が無効の群発頭痛に対しては三叉神経ブロック、外科的に三叉神経根切除、最近はガンマナイフ治療も行われていますが今後有効性が示されてくるものであるといえます。
薬剤長期乱用に伴う頭痛イメージ

4 薬剤長期乱用に伴う頭痛

 ある薬剤を3ヶ月以上毎日摂取した後に起こる頭痛で原因物質を離脱すると消失するものです。薬剤はエルゴタミン、アスピリン(一ヶ月に50g以上摂取)、カフェイン(一ヶ月に15g以上)等があります。

4-(1)治療
  治療の基本は
(1)原因薬剤の中止で、漸減より即時中断が良い、
(2)薬剤中止後の頭痛にはナプロキセン(ナイキサン)、トリプタン、プロクロルペラジン(ノバミン)等が有効で、
(3)予防にはアミトリプチン(トリプタノール)が有効です。通常薬剤中止後1―6ヶ月で70%の症例は頭痛が改善しますが、40%でまた薬剤乱用に陥ってしまうそうです。日ごろから薬を飲みすぎないような指導が大切です。
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