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【骨粗鬆症】

 骨粗鬆症は1000万人以上の方が罹患しているとも言われ、大変多い病気です。閉経後の女性に多くみられますが、決して女性だけの病気ではなく、男性にも骨粗鬆症はみられます。

平均寿命と健康寿命

 骨粗鬆症はなぜ、大きな問題なのでしょうか?それは日本が高齢者社会であり、高齢者の自立を喪失させる重要な疾患が骨粗鬆症、骨粗鬆症による骨折だからです。日本では4人に1人は65歳以上の高齢者です。高齢者にとっては寝たきりではない、いわゆる健康寿命の延伸が求められます。健康で自立した生活を送ることを本人、家族、社会も望んでいます。高齢者の自立性、活動性を障害する病気である骨粗鬆症を早期発見し、骨折を予防し、あるいは将来の骨折防止のための治療を行い、患者さんのQOLの維持・向上を図ることが大切です。

■骨粗鬆症とは

骨粗鬆症の定義

 骨粗鬆症は「骨の量が減ってしまい、また骨の微細構造も変化してしまい、骨折を起こしやすくなった状態」です。


■骨粗鬆症の分類

 下記に見られるように多くの病気や状態により骨粗鬆症をきたします。

原発性骨粗鬆症 続発性骨粗鬆症
閉経後骨粗鬆症
老人性骨粗鬆症
突発性骨粗鬆症(妊娠後骨粗鬆症を含む)
内分泌性: 甲状腺機能亢進症、性腺機能不全、Cushing症候群
栄養性: 壊血病、たんぱく質欠乏
薬物性: コルチコステロイド、ヘパリン
不動性: 全身性、局所性
先天性: 骨形成不全症、Marfan症候群
その他: 関節リウマチ、糖尿病、肝疾患
骨粗鬆症の経過・転帰

【診断の進め方】

 日本骨代謝学会の診断基準に沿って診断が行われます。

  1. 脆弱性骨折あり
    1. 錐体骨折または大腿骨近位部骨折
    2. その他の脆弱性骨折あり、骨密度がYAM(*1)の80%未満(*2)(*3)
  2. 脆弱性骨折なし
    1. 骨密度がYAMの70%以下またはTスコア(*4)が-2.5SD以下

*1 YAM (young adult mean):腰椎では20-44歳、大腿骨近位部では20-29歳の若年成人平均値
*2 骨密度は原則として腰椎骨密度とする。高齢者において脊椎変形などで測定が困難では大腿骨頚部あるいは他の部位の骨密度を用いる。
*3 骨密度の値は測定部位、測定方法、測定機器別で異なります。基準値も異なる。
*4 Tスコア:同性若年齢(20-29歳)の平均BMD値(基準値)を0として、標準偏差を1SDとして指標を規定した値

【検査の進め方】

 骨粗鬆症は血液・尿所見に異常は見られません。他の疾患と鑑別することが重要です。そのためには上記のX 線検査、骨密度検査に加えて、血液・尿検査をおこない、その結果を総合的に判断して骨粗鬆症であるか、否かの診断を行います。

低骨量、骨粗鬆症に伴う骨折のリスク因子があります。
以下が特に重要な因子です。

「低骨量」
「過去の骨折歴」
「年齢(70歳以上の高齢)」
「骨吸収マーカーの高値」
「基礎疾患(ステロイド服用、肝・腎疾患)」

*同じ骨密度で、同じ年齢でも骨折発生率は異なり、高齢の方ほど骨折を起こしやすいです。
**ステロイドはとても有用な治療効果を示す薬です。しかし、その副作用として骨粗鬆症があります。
 ステロイドを服用されている方は注意深い観察が必要です。

■骨代謝マーカー

 骨代謝マーカーには骨吸収マーカー(NTX:尿、血清DPD、デオキシピリジノリン)と骨形成系マーカー(BAP:血清)があります。
 骨代謝マーカーは将来の骨量減少、骨折リスク、さらに治療効果の評価、判定に有用です。

【治療】

 骨粗鬆症では骨折が最も問題です。骨折を予防し、QOLを高めることが治療目標です。
 治療として栄養、運動療法が基本です。必要に応じて薬物療法を行います。頑固な疼痛が続く場合、骨の癒合が不良な場合、神経が圧迫され、障害がある場合などでは手術が行われることもあります。

 カルシウム所要量は600〜800mgとされていますが、日本では不足がちです。特に高齢者、とくに施設入居されている方はカルシウム不足、ビタミンD不足がちです。
また若い女性でも数回にわたる不適切なダイエットや極端な偏食で不足している例では栄養不足になります。

 運動については歩行が勧められます。自分で手軽にでき、運動量をも自在に調整できます。歩行習慣が大腿骨頚部骨折発生率を低減するとの報告もあります。
 運動は一人一人に合わせた運動内容を計画することが大切で、さらに膝などの関節、あるいは糖尿病などの他の病気の有無をあわせて考えて進めましょう。

■薬物治療 :作用、目的別に選択して服用へ。

骨粗鬆症 骨折しやすい場所  骨粗鬆症薬剤には作用別に次のような分類をすることができます。患者さんの状態に合わせて薬剤を選択します。

  • 骨吸収抑制剤、調整剤
  • 疼痛対策(除痛)
  • 骨形成促進剤
  • 補充(ホルモン、ビタミンなど)

 骨吸収抑制剤は骨密度を高め、骨折防止効果、特に脊椎圧迫骨折、大腿骨頚部骨折の予防効果が大規模な研究で示されています。
 ビタミンDは日本人高齢者で半数の方は不足しているとも言われています。またビタミンDは骨密度の増加効果については軽度ですが、骨折の予防効果が示されています。

■治療効果の評価

  • 愁訴:痛みが取れているか
  • 骨密度値
  • 骨折予防効果
  • QOL

■転倒防止、環境整備

 高齢者では骨が脆く、ちょっとしたつまずきで骨折します。家の中を整理整頓しましょう。階段など足元を明るくしておきましょう。

【まとめ】

 骨粗鬆症は身近な病気です。早期発見につとめ、一人一人に合わせた対策を立てていきましょう。


《参考文献》

  1. 日本骨代謝学会骨粗鬆症診断基準検討委員会 原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年度改訂版) Osteoporosis Jpn 2013; 21: 9-21
  2. 骨粗鬆症患者QOL評価質問表 日本骨代謝学会雑誌 8:85-101, 2001
  3. 日本骨粗鬆症学会骨粗鬆症における骨代謝マーカーの適性使用に関する指針検討委員会 骨粗鬆症診療における骨代謝マーカーの適性使用:ガイドライン2001策定に向けて Osteoporosis Japan 9:255-264, 2001
  4. 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版 ライフサイエンス社 2015年

(2017/5/28)

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